2017年08月19日

【転載】バノン、側近たちと激突。ホワイトハウスを去る 宮崎正弘


 一時失墜かと噂されながらどっこい生きていたバノン、善くも悪しくも政権の思想的柱だったのに、「そして誰もいなくなった」症候群が続出。「お前はクビだ」だけでは国家運営はできまい。天下の英傑を蝟集させ組織運営・人事の妙ができぬなら、世界の超大国アメリカを導くことはできまい。トリック・スターは生命力を賦活させる魅力があるが、それで他人が迅速に反応して大いに動かねばならない。だが就任以来半年超、2016年にオバマが発射したミサイル本数の8割を打った以外、これといった実績はない。ワンパターンの凄み、脅しだけだから、トランプはもう、飽きられたピエロにすぎないかもしれない。
【転載開始】
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)8月19日(土曜日)
        通巻第5399号
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 バノン、側近たちと激突。ホワイトハウスを去る
  トランプを支えた首席戦略官、クシュナー、マクマスター、ケリー連合に苦杯
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  トランプ大統領の上級顧問、首席戦略官として一時期はホワイトハウスを牛耳ったステーブ・バノン。左翼メディアが眼の仇にしたほど影響力が強く、四月にはTIMEが表紙にしたほどだった。
その彼も8月18日に『辞任』を発表、事実上の更迭である。

 北朝鮮問題で周囲と激突し、とくに中国への貿易戦争の解釈で大統領とも対立、このところ更迭説が有力だった。
全米各紙ならびにテレビは一貫してバノンを敵視してきたため、歓迎論調、逆に保守陣営は怒りを表明し、「ゴールドマンサックスのロビィに転落したトランプ政権との戦いが始まる」と政権批判に転じた。
ひょっとして後世の歴史家は「このバノン解任でトランプ政権の姿勢が変わった」と書くことになるかも知れない。

 ステーブ・バノンは選挙中にも、「いずれ五年以内にアメリカは中国と戦争になる」と予言していた。共和党の過半の考え方は中国との宥和、共存的競合関係の維持を望んでいるため、バノンの大統領への影響力は次第に先細りになっていた。

 そこでバノンは更迭される直前、珍しくメディア(それも左翼メディア)に登場し、トランプが北朝鮮に対して「米国への脅しを続けるのであれば「炎と怒り」で報いを受けることになる」と警告したことに関してコメントし、「北朝鮮問題に軍事的な解決策はない。これは前座に過ぎない。それより北朝鮮問題で誠実な仲介役を中国に期待するという罠に陥ってはならない」といった。

トランプ大統領の対中姿勢の大幅な後退ぶりに対しての当てつけともとれる。大統領は北と中国を「口撃」するばかりで、中国への45%関税も為替操作国への指定もなされず、南シナ海における中国の横暴にも敢然と対応できていないとする批判が含まれる。

またバノンは「米国は中国と経済戦争の最中であり、どちらかが25年から30年後に覇権を握る。このまま行けば彼らの勝ちだ」と大統領の周囲とは異なる発言を繰り出した。現にIMFは七月の報告で『2022年に中国は米国のGDPを上回るだろう』としている。
 つまり、この発言はホワイトハウス内のクシュナーとジョン・ケリー首席補佐官、マクマスター補佐官への批判なのである。
 
 浮き上がった立場に追い込まれたバノンはことあるごとに彼らと激突した。業を煮やしたトランプ大統領はバノンを遠ざけ始め、大統領の周囲ならびに共和党の大半がバノンの更迭を叫ぶ状況となっていた。

 発足からわずか七か月で、トランプはフリン補佐官、スパイサー報道官、スカラムチ広報部長、プリーバス首席補佐官とバッサバッサ馘首してきた。こうなるとホワイトハウスは誰がまとめているかといえば、女婿クシュナー、首席補佐官となってジョン・ケリーのふたり、そのうえで重要事項の決定はマティス国防長官、マクマスター安全保障担当補佐官の四人が最強ということになる。

 この陣営と国防、外交における政策をみていると、今後のトランプ政権は最強の軍人内閣といえるかもしれない。
      □◇□み△□◇や□▽◎ざ□◇□き◎□◇ 
【転載終了】
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 前から言われている通り、外交政策、特にアジア政策を牛耳っているのは国務省でなく国防総省なのだろう。宮崎が挙げた最強の四人のうちケリー、マクマスターですら、組織掌握・運営に苦しんでいるとも言われ、巷には次の辞任候補者リストなるものが流通していると聞く。アメリカ社会の深い分断・亀裂を背景に政権に就いたトランプだが、その解決どころか政策遂行の前提となる政権への信頼獲得に苦しむ体たらくだ。
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2017年08月17日

【日】ブルネイでの日本軍用機が際立たす防衛紐帯 August 12, 2017


 滅多に報道されない日KC-767の友好訪問がブルネイとの防衛協力を際立たせる(表記)。
《骨子》
1。先月末、日本軍の輸送機がブルネイを友好訪問した。その交流は、短いながら、にもかかわらず両国間の防衛紐帯に脚光を当てた。

2。日本とブルネイ間関係、公式には1984年に始まったもの、は非軍事的分野、基幹的に経済及び人対人領分で際立つ傾向がある。それは驚きでない。経済的に、日本はブルネイのトップ貿易相手で両国は重要な連結がある、ブルネイの数十年来の日本への液化天然ガス(LNG)輸出から2007年のブルネイー日本経済パートナーシップ協定(BJEPA)までだ。そしてそれはブルネイ初の自由貿易協定だった。また両側が若者の交換や観光といった様々な分野で、近年人対人紐帯を拡張しようと企図してきた。

3。でも両側はまた、その仕様が広く公表されない傾向にあるけれども、防衛紐帯を共有する。人材交流やアセアン国防相会議プラスのような多国間フォーラムの一部たる演習といった他の交流を別にすれば、日本の海上自衛隊からの航空機や艦艇が両国間国交の確立直後からブルネイを訪問してきている。

4。7月27日から29日まで、我々はこれら友好訪問の別のものを目撃せねばならなかった。日本航空自衛隊(JASDF)KC-767航空機、第404戦闘隊第1戦闘空挺翼(1TAW)の小野寺修二郎三佐率いる軍用空中給油及び輸送機が3日間の友好訪問にリンバ空軍基地に着陸した。報じられるところ、KC-767はアデン湾での海賊防止任務を完了したジブチを発して小牧基地への帰還途中に訪問したものだ。

5。ブルネイの日本大使館によれば、到着に際して、16人から成るKC-767乗組員は、第15飛行隊、作戦航空司令官代行のモッド・アディーブ・ビン・アブド・ラーマン大尉率いる王国ブルネイ空軍(RBAirF)代表団に歓迎された。

6。ブルネイ滞在中、小野寺と代表団は報じられる所、ブルネイ向け日本大使予定者加藤仁彦とRBAirF作戦グループ司令官の(ウ)アブド・ラーマン・ビン・ドゥラマンに表敬訪問をした。

7。議論の話題について特定した公表はされなかった。しかし、大使館曰く、その訪問にもリンバ航空基地の航空動向センター(AMC)でのRBAirF第15飛行隊とJASDF第404戦闘隊第1戦闘空挺翼の役割に合同ブリーフィングが含まれていた。RBAirF CN235-110MとJASDF KC-767航空機の巡回も一緒だった。(止め)
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2017年08月16日

【米】イランか北朝鮮を先制攻撃したくともトランプは決断できない ANTIMEDIA  August 15, 2017


 肩で風切り周囲に睨み、凄んでみせて喜ぶのはかの世界では大親分でない。一見好々爺、温厚な紳士/隠居然とした御仁ほど実は恐ろしい。チンピラがドスをちらつかせれば、そんなもの仕舞っておくものだ、と教え諭すのが映画・ドラマで普通に描かれる姿で、俗によく吠える犬は噛みつかず、どんなひょろひょろでも死ぬ気で腰にドスを構えて体ごと打つかって来そうなら、余程の強面でも怖気るとも言う。

 トランプのやり方は大親分の所業ではない。恐らく胆力にも欠け、「お前はクビだ」以外に取り柄があるのか。子分が集まらないだけでなく、折角集めても直ぐに見切られて五百人の大部屋に数十人の閑散ぶりだ。超・大看板が風に吹かれて嘯くだけだ。人気の戦争太鼓は音だけ大きいけれども何せ魂が抜けている。現場部隊の米軍は日米2+2協議で臨戦態勢の準備をするようだが、それも親分の意思決定あって初めて意味をなす。表記はトランプにそんな決断はできないとの説(実は常識的見解)。勿論、北朝鮮はダシで本丸は中国とのトランプに好意的な意見もあるが。まあ、今更ながら欠伸の出る結論だが、つまみ食いしておく。
《摘要》
1。北朝鮮の人々を駆除する米国指導者の最近の挑発的威嚇を人はどうすべきか。米大統領ドナルド・J・トランプが先週、北朝鮮が米国を「挑発」し続ければ、金正恩は世界の決して見たことのないような炎と怒り(fire and fury)に遭遇するだろう、と極めて明確にした。されど北朝鮮は即時に仕返しで攻撃したい正確な場所を特定して応じた(爾来彼らはその威嚇を遅らせた)。

2。ANTIMEDIAが文書化した通り、トランプはテヘランと署名した2015年核合意、共同総合的行動計画(JCPOA)としても知られるものの脱線を公式戦略とした。だからイランとの緊張緩和が完璧に破壊され得る。

3。しかしながら、トランプ原案は、イランの次の認定時期(10月頃)が来る時、イランが遵守していないとトランプが宣言できるように、イランの現地調査を実施することで、イランがJCPOAを遵守していないと証明する方法を発見することのままだ。

4。一般的に言って、法の支配は有罪と証明されるまで人々が無罪と推定されることを要求する。トランプはこれを頭の中でひっくり返し、無罪の証拠に直面してもイランが有罪だと問責した。彼は自論を奮い立たせられる脈絡的事実の提供を求めている(普通は事実が先行しなければならない)。

5。「彼らは協定を遵守していないし、きっと遵守すべき協定の精神から外れている。そして自らを遵守させないなら起こる非常に強力な何らかの事態を見ることになるだろうと思う」と彼が述べた。自分の知るイランが遵守してきている事実を無視してだ。

6。「我々は非常に詳細な研究を行っている…我々は彼らが遵守していると言って彼らには極端に素晴らしくあり続けてきた、オーケーだろ。我々は彼らに各疑問の恩恵を与えてきた。しかし我々は非常に詳細な研究を行っている」。

7。「彼らが遵守しないだろうと私は思う」と付言した。思うに彼らはこの国を利用している。彼らはバラク・オバマという名前の大統領を利用した、一体自分が何をしているのか彼が分からなかったからだ。でも私は彼らが遵守するだろうとは思わない」。

8。トランプは、多くを証明する現有の証拠がありもしないのに、イランを非遵守的だと決めつけたい、でも正確には何のためなのか。イランと北朝鮮の双方がトランプを不安定な実績から救済するべく設計された犠牲牛だということが益々明瞭になりつつある。(青字強調は私)

9。「戦争が国家の健康だ」と第1次世界大戦中にエッセイストのランドルフ・シリマン・ボーンは書いた。

10。北朝鮮とイランの双方が究極的に核の巨人中国そして/またはロシアの孰れかに支援されるだろうことを考えれば、これまた戦争は非常にありそうなことに国家の完璧な消滅になるだろう。(止め)
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2017年08月13日

【米】北朝鮮の脅威を煽る報道の嵐の中で見過ごされている5つの話題 ANTIMEDIA  August 11, 2017


 素人のサッカー宜しくボールが飛んでくると自分の持ち場を忘れ興奮して殺到するメディア。1話題だけが異様に拡大され、まるで他の事件がないかのようだ。読者・視聴者もまたその報道の嵐に巻き込まれ、扇動に従い、気分だけが高揚してゆく。米国で話題の偽ニュースかさえ識別できない。だが世の中は1事件だけで動いてはいない、報道されなくとも重大な事件・話題はある。それを意識にのぼせてくれる表記のような記事は是非チェックしておきたい。以下、前書きを省き事件部分のみを拾っておく。
《摘要》
1。ワシントン州で原発が放射能漏洩、労働者が汚染される。
・ワシントン州に位置するハンフォードの現場が放射能プルトニウム粒子を6月8日に漏出し、労働者を病ませ同施設から遥々3マイル旅した。長年漏出してきた同所洗浄を課された請負業者は、地元局KINGが状況を論じる内部メモを獲得した今週まで、情報を保留した。プルトニウム最終処理場(PFP)の解体担当者が、放射能発散の放出が起こった時進行中だった作業を続けるので、複数の労働者が放射能「内部被曝」試験で陽性だった。

・PFP、 CH2m Hill取り壊しを手助けする担当の請負業者は最近の漏洩のリスクを拒絶した。全体として、推定予測は全ハンフォードの現場を洗浄するのに50年から75年の間かかるだろうというもので、専門家はこれを「アメリカで最も有毒な場所」にして「生じるのを待つ地下のチェルノブイリ」と考えてきた。皮肉なことに、アメリカ人が核戦争の展望に慄いているとき、ハンフォードが措定する直接の脅威は究極的に彼ら自身の政府の核の野望の結果だ。ハンフォードは第2次世界大戦末長崎を破壊した「ファット・マン」爆弾を生んだ。さらに、国中の複数の核の場所もまた漏洩し、貧困に維持された核インフラの進行中の危険とそれを担当する者の説明責任のなさを際立たせた。

2。トランプ下、米国は昨年とほぼ同数の爆弾を投下してきた。
・2016年期間中、トランプ支持者の一部がトランプを、ヒラリー・クリントンと戦争タカ派の軌跡を妨害できる反戦候補者のチャンピオンにした。

・トランプは彼女が容易く第3次世界大戦を発火させ得ると断言した。トランプが北朝鮮に対してサーベル鳴らしをするに連れ、究極的に彼が反対だと警告したものになって、また彼も世界の他の部分に対し軍事暴力を揮うアメリカの傾向を実践してきた。今週フォーリン・ポリシーが報じた、「トランプ下、米国は7月31日までに約20,650発の爆弾、即オバマ下2016年全体で投下した数の80%を投下してきた。この率なら、トランプはレイバーデイまでにオバマの昨年総計を超えるだろう」。増加が特にイラク、シリアとアフガニスタン、及び中東の他国に影響してきた。またそれらはトランプ政権からの釈明なしに重い民間人損失を負わせてきた。これらの増大した軍事作戦ーオバマ下でも初めから高かったーは、フォーリン・ポリシーによれば、外交戦略なしにちょっと近づいた。

3。【続きはこちらで😞】
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2017年08月06日

【越】ヴェトナムの国有企業株式化の新しい波:駆動要因と意味 ISEAS 26 July 2017


 ISEASのレポート(表記)から要約部分のみつまみ食い。
《摘要》
1。ヴェトナム政府が最近、国有企業 (SOEs)の株式化(部分的私有化)と売却を大いに加速する重大な新しい努力をした。

2。株式化のこの新しい波は4つの主要要因により駆動される。即ち、増嵩する財政赤字と公的債務に対処する金融資源を動員する政府の必要。一連のSOE倒産に続くSOE改革についての緊急感の増大。自由貿易協定下の義務。それにヴェトナム株式取引所の改善された条件。

3。政府は、その相対的により大規模であることを所与として、SOEsの評価とこれら企業に対し財政的に可能な投資家の発見に際して諸困難に直面するだろう。

4。計画が成功すれば、それがヴェトナムの長期的経済実績改善、外国人投資のより大きな流入の惹きつけ、そしてヴェトナムの新興市場地位達成への貢献に役立つかもしれない。(止め)
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【泰】バンコクは北京から離れようとしているのか その2(完) 4 August 2017


【承前】その1はこちら
10。泰米枢軸の宥和に向かうタイ指導者のさい金の熱意は中国の「辱め攻撃」に伴うタイ国の不安とワシントンに揺れ戻る利益とを指摘しているかもしれない。併し、米国の風にしなうことが今回有効となりそうだろうか。

11。この膝折企図の成功はいかにバンコクが現米政権の外交政策指針と適合するかに依存する。トランプの曖昧なアジア政策に加えて、彼の焦点は北朝鮮問題にあるように思える。この焦点はタイ国の死活的な利益が存する所でない、この故に協力の力学が結果的に褪せるかもしれない。

12。最終的な結論を出すには時期尚早だけれども、トランプの「多忙な予定」の所為のプラユット訪問の遅延はタイ国がシンガポールのような他の東南アジア諸国と比べてトランプの心中重大な役者でないかもしれないことを暗示する。トランプとシンガポール首相リー・シェン・ロングの間には、2回の電話とドイツG20サミットの付属二カ国会議を含む、もっと頻繁な交流が続いてきた。タイ首相の訪問が遅延される或いは決して起こらないなら、この失望が再び二カ国間紐帯を冷えさせるかもしれない。

13。米国務長官レックス・ティラーソンの8月第2週のタイ国訪問案がワシントンの二カ国間紐帯の修復願望についてバンコクに再保証するのに役立つかもしれない。併し、訪問の目的は東南アジア諸国に北朝鮮に係る支援を押すように見える、必ずしも壊れた関係の癒しではない。

14。タイ国に関する米国のアジェンダは多国間主義から待避しつつ二カ国間自由貿易交渉を再生させることに集中する筈だ。米兵器購入能力と引き換えに米国への貿易に関し現体制がまた譲歩を申し出る可能性がある。最近、タイ国防相が4機のブラック・ホーク・ヘリコプター購入案を明らかにした。タイ軍の観点からは、この外交的な代償が傷の一部を癒すかもしれない。

15。また米泰紛争が米国の貿易に関する内向き態度の所為で再現するかもしれない。二カ国間関係が貿易論争に支配された1990年代初期のそれに似たもう一つの挑戦に直面するかもしれない。

16。最近、タイ国は米国通商代表部が米国と不公平貿易をしていないか検証している16カ国の1つになった。差別的貿易行為をしていると同定されれば、タイ国が米国からの貿易報復措置に直面するかもしれない。タイ国の経済的停滞の最中、長引く貿易論争が両国間のより多くの緊張やタイ国に於ける米国のさらなるマイナス認識を招くかもしれない。[青字強調は私]

17。煎じ詰めれば、両地域大国間での戦略的地位を容易く再調整できるかどうかが依然不明瞭だ。この地位見直しの成功はワシントンと北京双方からの信号に概して依存する。

18。北京が「辱め攻撃」戦術を続けワシントンが結果的に積極的な身振りを提供すれば、バンコクは後者との関係修復が可能になりそうだ。併し、ワシントンがタイ国の限界化、つまりタイ政治に於ける長引く軍の影響力の展望を考慮する可能性を選択するなら、タイ国には北京の善良な弟分たる以外に選択肢がないかもしれない。(止め)
【完】
***
 2014年クーは他の回と違って米国の事前了承を取らずに遂行されたと謂れており、結果欧州ほどでないが米国は非難と軍事援助の縮小、1年近い駐タイ米国大使の非補充で問責した。要するに欧米(≒国際社会)から孤立した。特段の注文をつけなかったのは最大投資国の日本だけだった。

 かつて米国と軍事的な蜜月状態だった頃は、古く朝鮮戦争への派兵、ヴェトナム戦争出撃基地の提供、同戦争への兵士派兵をタイ国は行っていた。タクシン時代、米国と同盟関係にあるのを忘れて中国に傾斜したことがあるが、間違いに気づいて軌道修正したのは、JI(ジャマー・イスラミア)幹部の逮捕・米国引き渡しという対テロ戦争への協力だった。結果、前国王の在位60周年式典に出席したブッシュJr.からNATO同盟国に次ぐ地位を宣せられた。

 現状と往時との落差は極めて大きい。その修復に、若し北朝鮮との戦争が起これば、朝鮮戦争並みに派兵くらい覚悟しなければならないだろう。加えて米中対立がもっと激しくなって、一方タイ国の中国側陣営色がもっと色濃ければ何が起こるだろうか。タイ国が米国陣営たることを前提にした日本はどうするだろうか。
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2017年08月05日

【泰】バンコクは北京から離れようとしているのか その1 4 August 2017


 クー後欧米から疎んじられた軍政は国際的孤立を避けるべく北京に救いの道を求めた。中国はタイ国にとって貿易・観光面で大事な相手先ではあるものの、外交・安全保障面で中国圏入りしてよいものか。特に米国とは大軍事演習コブラ・ゴールドに現れるように同盟関係にあるからだ。だが軍政は軍事面で中国製潜水艦の3隻購入に代表されるように中国にすり寄ってきた。アセアン中心国の一つとしてその動向が与える影響は大きい。ストック・フロー両面で最大の投資家である日本にとってもタイ国の中国陣営入りは堪らないだろう。北京離れ(表記)が本当なら結構なことだ。
《骨子》
1。2014年の軍事クー以来、タイ外交政策は長きにわたるワシントンとの紐帯を犠牲にして北京方向へとより近づいてきた。併し最近の展開が示すのは、ワシントン及びバンコク双方からの風向き変化があるかもしれないことだ。

2。2017年3月、大統領ドナルド・トランプが東南アジア3カ国ーフィリピン、シンガポール及びタイ国ーの指導者にワシントン訪問の招待を含む電話を架けた。ドゥテルテは関与的受諾を示さなかったけれども、タイ首相プラユット・チャンオチャは7月末訪問の当初計画で招待を熱心に受け入れた。併しこれは後にトランプの多忙な予定のために延期された。

3。バンコク最近の対米姿勢がタイ国、中国及び米国間の三角関係について我々に教えるのは何か。

4。伝統的にタイ国の外交政策が「風に連れてしなる竹[風見鶏]」外交と呼ばれて有名だ。これはどちらの方向が自国益になるかを選択するバンコクの能力を反映する。歴史的に、この外交政策姿勢は植民地時代及び冷戦期間中の地域権力闘争の最中、タイ国が主権と独立を保持するのに役立った。

5。併し、中国興隆に続く地域権力競争の現脈絡の中、タイ国は外交政策戦略追求に際して普通よりも多い困難を経験してきた。2006年以来のタイ国国内政治もまたタイの政策立案者を国際問題から引き離してきた。バンコクは地域の指導的役割の遂行と主要大国、特に中国と米国との間の良好なバランスを維持する双方ができなくなった。

6。2014年クー後、国際的認知と正統性を獲得することが、西側諸国からの批判と支援削減に直面したタイ国軍政にとって、重大問題となった。特にオバマの軍政への冷淡な態度がワシントンとバンコク間の亀裂を広げた。併し、中国がクーを承認したので、軍政は西側からの政治的圧力を改善するクッションを見つけることができている。

7。北京の支持を維持するため、軍政は幾つかの特権を中国に与えてきた。2015年タイ国はウイグル人移住者と多数の政治的反体制派を送還するという北京の要求を受け入れた。またタイ国と中国とは合同軍事演習と武器売却の拡大を通じてその安全保障関係を深めてきた。中国からの49台の戦車と3隻の潜水艦の最近の購入が数人の軍事専門家に警告した、それがバンコクは長期的に中国側に転向するとの信号かもしれないからだ。

8。併し、関係には関係の躓く問題があり続けているー2010年以来の支那ータイ高速鉄道プロジェクトの遅延だ。遅延が北京を苛立たせてきた、それが「一帯一路」発議の一部たる地域連結性建設計画に影響するからだ。

9。北京の不満が2017年5月の一帯一路フォーラムからのプラユット除外に結果した。この外交的恫喝がプラユットにプロジェクトの法的隘路を一掃するようタイ憲法44条ー既存法を迂回する命令を発する権限を首相に与えるーに頼る圧力を掛けた。軍政支配下年の遅延後、同プロジェクトが今2017年10月開始を見込まれる。(止め)
【その2へ続く】
posted by 三間堀 at 16:33| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

めも)【中】軍改革断行の背景 2014年軍事演習での「精鋭部隊」の惨敗 2017年08月02日


 私は中国を「張り子の虎」と繰り返し述べてきた。国軍でない人民解放軍はあくまで共産党の私兵であり、傭兵だ。そして傭兵は命あっての物種で生きる。表記は精鋭部隊の模擬戦での惨敗で、人民解放軍の実態・実力を実感させられた習近平が軍改革に踏み切った原因の一つと言う。
《摘要》
1。軍改革。「強軍路線」を掲げ、従来の7大軍区を5戦区に統合し、余剰兵員30万人削減など陸軍を中心に改革を行った(中国陸軍をもとの18集団軍から13集団軍に編成し直し、もとの集団軍に振り分けられていた番号を全て抹消して新たに番号を付け直した)。海空軍の増強や戦略ミサイル部隊、宇宙・サイバー分野の整備に重点を移している。

2。今年7月23日、中国国営放送・中央テレビ局の政論特集番組「将改革进行到底(改革をやり通す)」の第7回放送「強軍之路(強い軍隊への道)」(上)で、2014年に行われた対抗戦による軍事演習の様子が報道された。

3。中国軍が14年に内モンゴルで実施した大規模な対抗軍事演習。このとき、「精鋭部隊」と目されていたのは七大軍区から選ばれた7つの部隊だった。この精鋭部隊による「赤軍」と初に組織した仮想敵専門部隊の「青軍」が仮想戦を行ったところ、当初の予想に反し、精鋭部隊の赤軍が6対1で大敗を喫する結果となった。中国軍屈指の精鋭部隊と考えられていた赤軍6つが惨敗してしまったのだ。(止め)
***
 軍事機材の近代化、向上はある意味金があればできるが、それを使い切るには人材の訓練、経験が必要でそれには長時間かかる。そして実際の戦闘能力になれば「士気」の問題がある。ML前衛党の理論は共産党が国家を超える存在であり、国家を指導するとする。そして人民解放軍は共産党の私兵だ。国軍にしないのは共産党支配を倒すクーデターを恐れるからだと言う。
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2017年08月03日

転載)【巴・中】パキスタンに裨益しないCPEC(中国パキスタン経済回廊) 宮崎正弘


 インフラ整備資金欲しさに途上国が飛びついた「一帯一路」、AIIB構想だが、(高速)鉄道案件でいざ走り出そうとすれば、中国の言い分が当初入札時と食い違い、交渉難航の末破談に至る事例やら、当初から心配されていた開発利益の独り占めなど中国の強欲ぶりが次第に露呈してきた。表記もその一つ。
【転載開始】
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)8月3日(木曜日)
        通算第5381号 
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 パキスタンに裨益しないCPEC(中国パキスタン経済回廊)
  IMFも「一方的な中国の利益」とプロジェクトに懐疑的な報告
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 「ちっともパキスタン経済に裨益していないじゃないか」とパキスタン経済界から不満の声があがっている。
中国から安い物資がどんどんパキスタン市場に流れ込み、パキスタン製品が駆逐され、そのうえグアダール港工事のための建機、セメントなど全部が中国からの輸入となって、貿易赤字が拡大、外貨準備は底をついている。
「なにが双方の利益だ」と嘆きの声は日々大きくなる一方だ。

一帯一路の目玉プロジェクトは中国が500億ドルを投じ、イランよりのグアダール港から新彊ウィグル自治区のカシュガルまで鉄道、ハイウェイ、パイプライン、光ファイバー敷設という四つの工事である。これがCPEC(中国パキスタン経済回廊)だ。すでに工事は佳境に入っている。

ところがグアダール港の位置は「パロチスタン藩国」の領地で、英国が勝手に地図をひいてパキスタンに編入した経緯があり(ちなみに国王(藩主)は英国に亡命中)、バローチ人はまったく歓迎していない。
そのため中国人へのテロ、誘拐事件が繰り返され、その工事現場の警備をパキスタン軍がおこなうという皮肉。

もっと具体的に言えば、プロジェクトの資金は中国が寄付するのではなく、中国がパキスタンに貸与するのであり、担保は将来の「通過料」「道路使用量」「鉄道運賃」などである。当初の計画ではパキスタンは、2024年には35億ドルから45億ドルの「収入」が見込めるという青写真になっていた。

IMFの報告は「輸出力向上が見られず(そもそもパキスタンからの輸出品は殆どない)、予測される利益はなく、パキスタンの赤字拡大の怖れがある」と警告している。

大型のプロジェクトはいまも不足している電力を必要とするが、そのためにはダムがもっと必要になる。中国からの代金決済は人民元ではなくドル決済のため、ますますパキスタンの外貨準備が激減している。

あまつさえ隣国インドが中国主導の一帯一路そのものに反対しており、しかもパキスタンとインドが抱える領土係争地を、このプロジェクトが通過する。

スリランカ、インドネシアほかで、中国の提案を再検討する動きがあったように「パキスタンはプロジェクトそのものを再検証しなければならないだろう」とパキスタンの識者は口を揃えている(アジアタイムズ、7月31日)。

いやはや前途多難というより真っ暗、そのうえパキスタン政変はシャリフ政権を崩壊に追い込み、北の隣国アフガニスタンへはIS兵士が帰還し始めて大がかりなテロが予測され、西の隣国イラン国境も剣呑な情勢である。
 一難去って、また一難。
      □▽◎み□◇□や□▽◎ざ□◇□き◎□◇ 
【転載終了】
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旧聞)【鮮・米】北朝鮮のICBMで米国は「日本」を守れなくなる 森 清勇 2017.7.11


 表記は7月4日の第1回ICBM発射成功を受けて書かれており、28日の第2回発射成功は反映されていないため、米国防総省のICBM認知の発表前だ。其れ故、米国にとって2年という猶予期間があるとしつつ、「時間とともに、米国はますます窮地に立たされ、『安保条約5条』は機能しないことが危惧される」と筆者は述べる。以下過去の経緯を踏まえつつ日本の覚悟・備えを論じてゆく。本稿ではその内認識すべき重要事項のみをつまみ食いする。
《摘要》
冷戦時代の核戦略
1。冷戦時代の米ソは相手を何百回も破壊できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を保有していた。「互いに破壊し尽くす」ということから「相互確証破壊戦略」(Mutual Assure Destruction)と称され、頭文字を取ってMAD戦略とも呼ばれた。

2。米ソはICBMなどへの対抗兵器の開発・装備を自粛(禁止)した。また中距離弾道ミサイル(IRBM)や準中距離弾道ミサイル(MRBM)を保有すれば、それらを用いて同盟国や友好国間の代理戦争をもたらしかねないとして、IRBMとMRBMも保有しないことにした。

3。現在米国はICBM450基、SLBM336基(弾頭2100発)、ロシアはそれぞれ356基、144基(弾頭約3800)を保有する。 米ソの戦略兵器削減交渉などの結果、米国は北朝鮮のスカッドやノドン、ムスダンなどの短中距離弾道弾に相当するミサイルを保有していない。→日本への抑止力に問題。

米国は北朝鮮を攻撃できない
4。[北朝鮮に]数発でもICBMが配備された暁には、「照準をサンフランシスコやニューヨークに合わせた」と公表するだけで、米国を身動きできない様にすることができる。→最早そうなった。

5。韓国や日本を射程内に収める弾道弾を多数配備している北朝鮮が、動き始めたらどうなるだろうか。

6。北朝鮮が米国を攻撃できるICBMを1発でも配備すれば米国の日本に対する拡大抑止が効かない可能性が出てくる。米国依存できた日本にとっては「他人事ではない」ということである。

7。日本は20年も前から北朝鮮のMRBMやIRBMの射程内にある。飽和攻撃と呼ばれる、一度に日本が対応できない多数のミサイルを発射されたら、日本はひとたまりもない。…日本向けは中距離弾道弾のノドン、北極星2、ムスダンなど多数あり、各種の弾道ミサイルで飽和攻撃を仕かけることもできる。

8。マイケル・ユーが今年行ったシミュレーション(2020年8月1日、都庁直撃)による被害推定は。「半径2.2キロのグランド・ゼロで、約142万人が死亡。半径12.2キロ圏内の50〜90%も高温・爆風・放射能で被爆し、1分以内で死亡する可能性が高いとし、その数は約312万人。1次死亡者は約454万人に達するとはじき出している」。放射能汚染は風に乗って水戸地域まで広がる。(止め)
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 防衛意識の高い日本人の中には既に核シェルターや空気清浄機などを入手し始めた、と本ブログは書いた。
狙うなら大都市を選ぶだろうと安心する訳にはゆかない、標的を外れて落ちる場合があるからだ。国の安全対処策としては地下鉄、地下に逃げ込めとあるが、これも地上よりマシという話だろう。

 ICBM成功で米国の核の傘は消失した。いや、通常戦力での小競り合いさえ本格戦争への確率が高ければ、エスカレートを恐れるブレーキが米国にかかるだろう。つまり、正直に言えば、日米同盟があるから大丈夫ではないのだ。日本が核武装しなければ、北朝鮮の「核の恫喝」を前に屈服することになる。
posted by 三間堀 at 10:28| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする