2013年01月19日

ますます抱き合う日本とインド By Jeffrey W. Hornung

 日本における安倍晋三の復帰で、既に強い東京とインドの結びつきが新たな高みに達すると見込まれる。

《骨子》
1。最近私は高位のインド外交官に安倍晋三の首相復帰の観点で印日関係の将来について語った。応答は打ち消し難いものだった。インドは日本との関係に「大いなる重要性」を置き、さらに一層高まることを欲するだった。安倍が舵を握るなら、時はこの関係前進にとって熟している。

2。安倍は一途な迄の親インド派だ。2006年の著書『美しい国』の中で両国関係が日本の利益にとって極度に重要だと強調したばかりでなく、彼の以前の首相任期中の主要な外交政策の一つがインドと両国間紐帯の新ビジョンだった。その目的のために、インドと日本とが共有する価値観や重なり合う安全保障上の利害の強調を先導した。また彼は両国にインド洋=太平洋地域−彼は「広域アジア」と言った−で共同して働く責任があるとも言い立てた。自民党直近の選挙公約では、インドが国家安全保障とエネルギー問題で協力を励起すべき国の一つに擧げられた。そうした支持があれば、安倍がインドを地域におけるより大いなる日本の活動のパートナーと見ることが期待出来よう。

3。この何一つとして問題にはなるまい。両国は既に広範囲の問題で協力しているからだ。経済的には、関係はこれまでより良いものではなかった。過去五年間にわたり、両国間貿易は二倍になった。2011年8月、向後十年間にわたり94%の製品の税金を免除し、両国間で商品、サービス、資本及び人々のより大きな動きな確実にする総合的経済パートナーシップ(CEPA)が施行された後、事態は急速に前進した。日本はデリーの繊維、水産物、IT、医薬及びサービスにとって富裕で洗練された市場をインドに提供する。他方、日本はインドを自動車部品、高級技術、それに資本財のための輸出市場と見る。実際、2011年3月の日本の津波及び原発事故の一週間以内に、インドの自動車工業界は予想される日本製造業への妨害が事業にとって重大な傷害になるかも知れないと懸念を表明していた。

4。加えて、日本の会社群がインドのITやその他技術のプロジェクトに投資して来たし、日本政府はインドに重大な額の公的開発援助(ODA)を送って来た。事実、インドは遡ること1958年に至るODA借款の期限延長を初めてした国だった。そして2003ー2004会計年度以来、インドは日本ODAの単一最大の受取国になった。日本はまた2011年3月の災害に従いなしたODA削減からインドを除外した。

5。日本とインドは共通の利益を促進するため外交上共同歩調をとる。国連で彼らは活発に国連安保理改革の音頭をとる。加えて彼らは、G20と東アジアサミットをそれぞれ国債経済協力と地域多国間主義の第一義的場所として促進協力をする。これら機関のなかで、東京とデリーは核の廃絶及び不拡散、テロリズム対策、気候変動及びエネルギー安全保障を含めて、多くの問題で協力する。

6。過去六年にわたる日本とインドとの安全保障協力はそれ以前の六十年間を繋ぎ合わせたよりも大きくなってきた。この協力には、寄港を通じた海軍能力建造、海軍及び沿岸警備隊の交流、同合同演習、情報共有及び技術援助におけるより大きな協力がある。海底通信線(SLOCs)の保護、アデン湾における海賊対策努力、マラッカ海峡沿岸諸国への巡視艇派遣と能力建造訓練がある。戦略的対話に沿って、両国間の船積み政策フォーラム、海洋安全保障対話、それにサイバー安全保障対話を両者は打ち出した。

7。これは協力の強固な記録だが、依然更なる励起を求める数多くの分野がある。経済的に、CEPAはより大きな経済結合を意味し、経済的補完性を所与とすれば特に利益がある。たとえば、継続した日本の経済成長にはより多くの労働者と成長市場へのより大きな関与とが必要だろう。それ故インドは、その経済ブーム、より低い生産費、高級製品へのより大きな需要を生み出す中間層の増大で、死活的な役割を演じ得る。他方、インドの成長には21世紀型のインフラや技術的熟練への投資が必要になる。その両者とも東京が提供を手助け出来る。たとえば、インドは今後五年間でインフラプロジェクトに1兆ドルの支出を目論み、この40%を民間資本で賄うことを希望する。同様に、インドは技術ギャップやインフラ欠如を埋めるのに役立つ日本の技術や投資を必要とするだろう。

8。外交上両国は国際機関に今日の多極性を反映したい。彼らはまた核廃絶や不拡散を唱導しており、大量破壊兵器やその運搬手段の拡散防止を希望する。同様に、東京とデリーは海洋公海での航行の自由保持に強く増大する利害を共有している。両国ともエネルギー輸入や貿易面でそれに重度の依存をしているからだ。また彼らはインド洋=太平洋地域でいかなる国も覇権樹立させないという永続的利害を共有する。中国が両国に懸念を募らせる理由だ。

9。楽観主義には数多の理由があるけれども、印日紐帯を進めるには幾つかの障害がある。たとえば、近年の経済的結びつきには急速な伸びがあるけれども、日本人投資家がインドのビジネス風土に完璧に売り込まれてはいない。インド官僚制の迷路を通じて仕事することに困難を見出すだけでなく、インドの貧困なインフラ、不透明な法律と税の制度それに役人の汚職も心配の種だ。同様に、民生用原子力協力は滞ったままだ。インドが非核保有国としてNPT(核不拡散条約)に加盟するのを拒むからだ。日本に親インドの首相を持つことはインドでのビジネス展開に用心深い投資家を信じさせるかも知れない。また安倍自民党の勝利は反原発諸党の犠牲によるもので、インドとの民生用原子力協定推進が安倍には期待出来るかも知れない。米国、ロシア、カナダ及び韓国のような国の多くが既になし、豪州のような他国が今しようとしていることだ。

10。ことによると安全保障が極めて僅かながらの妨害にしか遭わないかも知れない。両国は中国の海上行動と航行の自由への懸念を共有する。両国には強力な海軍があるけれども、どちらも海洋公海を単独で安全保障するに十分な程強力でないし、而して信頼出来るパートナーを持つことに利益がある。インドの海軍及び沿岸警備隊はマラッカ海峡からペルシャ湾へと抜けるSLOC(海底通信回線)すべてを監視出来ない。だからインドはインド近海とそれ以遠における挑戦に対処する国家間協力が必要だ。日本海軍(海上自衛隊)インド海域では運行しない(法的に可能なのは日本から1000海里まで)、特別法の下でアデン湾の海賊取締に限定的に参加するだけだ。彼らはお互いの偵察から利益を得る。そして合同海軍演習を始めた。これら努力におけるより大きな協力がなんら大きな制約に面しないわけではない、だが協力が予見出来ない将来への掛けつなぎに役立つことを所与とすれば、それが重要なのだ。

11。より強力な日印関係への熱意の故に、安倍の勝利は二大国がその協力を拡大する独特の機会を提供する。途上に殆ど障害がないので、直ぐに我々が印日両国間紐帯の花開くのを目撃することになるやも知れない。(止め)

原文)Japan and India’s Growing Embrace January 12, 2013By Jeffrey W. Hornung
http://thediplomat.com/2013/01/12/japan-and-indias-growing-embrace/
posted by 三間堀 at 19:18| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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