2004年発行だからかれこれ15年前の書物に中川八洋著『日本 核武装の選択』がある。時代はまだノドン・ミサイルが北朝鮮の脅威とされていた。ノドンの射程距離は1200km、花台から日本列島がすっぽり納まる。加えてノドンに核或いは生物・化学兵器をを搭載すれば、その被害が甚大であるのは言うを俟たない。北朝鮮の齎す危機は程度こそ違えどその構造は同じだ。だが当時、防衛論議、北朝鮮の脅威への対処議論が深まっていたとは言えない。自民党内議論で「攻撃能力」の必要性が漸く始まったと報じられる程度だ。この間の議論の停滞は言うまでもなく憲法9条の神学論争の迷路にある。カルト宗教化して現実を跳ね飛ばす。一方で政府は専守防衛から積極的防衛へとアクロバチックな憲法解釈で装備、能力の涵養に努めてきた。勿論、それは現実の「必要の前に法はなし」的対応、大人の嘘の塗り固めだ。
1) さて北朝鮮の脅威を除去するにどうするか。中川の解答は明快だ。
<ミサイルすべて、ミサイル生産工場、ミサイル発射場、通信などの関連施設、…の完全破壊である。
2) 当時は勿論、今でも「ぶっ飛んだ提言」をする。
<核トマホークである。
3) 何故、通常型ミサイルではダメなのか。(言うまでもなく以下の議論は最新事情に更新する必要が有る)
<❶その破壊力からして地表上の軍事施設を完全には破壊できない。
❷半地下や地下の工場であれば、ほとんど被害を与えない。
「❸北朝鮮は山間の土地も多く、それが自然要害となる。
❹移動式ミサイル発射場がある」(私の補足)。
…核ミサイルであれば、上記の難点をかなりカバーできる。当時も今もこうした攻撃は日米同盟により米国に担当してもらうしかない。
4)北朝鮮は政府=軍であり、軍が壊滅的打撃を受ければ金王朝は権威を失い自動的に瓦解する。
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金王朝崩壊の前に反撃があろう。韓国、日本の米軍基地めがけてミサイルが飛んでこよう。その隙を与えないように電撃的攻撃が必要で、それでも漏れは出るだろう。それをMDで対処するのが模範解答だが、同時多発の場合は防ぎきれまい。これは日本の覚悟の問題でもある。戦火は浴びる。
当然、北朝鮮人の「難民」対策もワンセットだ。現在、漂流船として年間60〜70隻あるようなので、激増しよう。専門家は北朝鮮の危機とは難民の大量流入だと指摘する声が強い(このブログでも採りあげた)。