【承前】その1はこちら。
10。中国主席習近平の下、中国の海軍の範囲が相当増大してきて、従来はその影響圏内と考えられない地域まで直接の海岸線を遥かに超えて拡張している。
11。昨年7月、中国は最初の海外軍事基地をジブチに設立した。それはバブ・エル・マンデブ海峡、世界で最繁忙の海路にして3つの決定的なインド洋の火薬庫の1つに近い。
12。同海峡は、最も狭い地点で幅29KMしかなく、スエズ運河を経由して地中海と結び、そして紅海とアデン湾とインド洋を超える。
13。ジブチ基地の開所式は数ヶ月ずれた。同国の物議を呼んだスリランカのハムバントータ港、とある評価によれば一義的なインド洋航路(マラッカ海峡とスエズ運河を繋ぐもの)からほんの22.2km、の取得による。
14。マルコム・デイヴィス、オーストラリア戦略政策研究所の上級分析家はハムバントータ取引ーその取引でスリランカは中国に、北京に対して負う債務数十億ドル強を償還するため、99年間の租借を許したーを「インドを犠牲にしてインド洋上にその影響力を拡張する中国の断固たる戦略」と表現する。
15。「あの港はそれから彼らにインドの影響圏内部への戦略的接近地点(中国は海軍力を派遣できる)を与えるだけでなく、中国にインド経済圏への商品輸出で有利な立場をも与える。だからそれはこの観点で相当数の戦略目標を達成したのだ」とデイヴィスは説く。
16。インド軍高官曰く。セイシェル列島とアサンプション島とはインド海軍の作戦、地域中に航空機と艦船とを回転配備する目論見、の範囲を拡張する上で強力な組み合わせだ。
17。「開発はインド太平洋に於ける中国の成長する戦略的足跡と合致して地政学的前線が拡大していることの明らかな指標だ」とインド海洋財団のキャプテン、ガープリート・クラーナが語った。
18。インドはインド洋で軍国主義中国に包囲されることを恐れるので、ただ我々はこれら核武装した隣国同士が別の軍事的衝突に向かずに済むのを信じるのみだ。前回これが起こったとき、それが1962年の戦争だった。それ故にもう1回の敗北が選択肢でないことを確実にするだろう、セイシェル列島群で必要な準備をインドがしているのだ。(止め)
【完】
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米中露印と国際政治の主役が揃った。勿論、我が日本も頑張っているのだが、悲しいことに軍事力の裏付けがない(憲法の制約)。一方ダークホースには伏兵ドイツがいる。ざっとこのあたりが注目先で、お互いの合従連衡が事態を見えにくくする。なるべく即断しないことにしよう。